2月の園だより
地域のボランティアで親子の凧作りに参加したときのことです。
Aくんは自信がないのか、
型を切ったり、ひごを貼りつけたりするたびに
お母さんに目線を向け助けを求めます。
お母さんが「こうするのよ」とやってみせると、Aくんは手を離してしまうので、
お母さんは仕方なく自分で作ってしまっていました。
Aくんは今度は凧糸を凧の穴に通そうと一回試みましたが、
やっぱり通りません。
「できないや」といい、お母さんに糸を渡そうとしたので、
私が「うまく通らない?」と聞くと、
Aくんは私に視線を移して「うん」と言います。
「だって、(糸の先がほつれて)バラバラなんだもん」と言って、
糸を机においてしまいました。
「そうだね。」と言い、A君がどうするのか待ってみました。
するとA君はゆっくりと糸に視線を戻しました。
そこで「どうしたら、通るかなぁ」と問いかけると、
Aくんはちよっと考え、
糸の先の方をもって、穴に通そうとがんばってみましたが、
やっぱりダメ。
「できないや」とまた糸を投げ出しました。
「他の人はどうやっているのかな?」と聞くと、
むくっと背をのばし、
他の子どもたちの様子を観察しはじめました。
そして、今度は先の方を長くして、くるくると穂先を整え、
穴通しに挑戦しましたが、今度も失敗。
「やっぱりダメだ」と悔しそうに言いましたが、
今度はあきらめずになんか考え込んでいる様子です。
「そうだ!」
Aくんは、そばにあった楊枝に凧糸を結びつけ、
糸通しの要領で穴に糸を通してみました。
これは大成功!
「やった!!」
Aくんは自分のアイディアに満足し、
うれしそうに私にハイタッチを求めてきました。
その様子をみていたお母さんは
「『自分でできることは自分で』と思っているつもりでしたが、
早く早くという思いが強く、
つい手伝ってしまい、
子どもが自分でやろうとする気持ちをなえさせていたのかもしれません」
と伝えてくれました。
子どもには子どもの時間の流れ方があります。
そして、子どもの時間の流れはたいがい大人よりゆっくり流れていて、
大人にはまどろっこしく見えてしまうものなのかもしれません。
でも、
そのゆっくりとした時間の中で子どもはさまざまなことに
気付き、悩み、立ち上がる力をつけています。
目の前の子を見てイライラする気持ちを切り替え、
「きっとこの子は大器晩成なんだわ」等といいながら、
ゆったりと見守れるとよいですね。